【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ




朔に拾われ、俺はBLACKSKYの一員となった。


新入りながら副総長の右腕という地位まで与えられ、当然最初は反感も買ったけど…俺の力を見せれば、認めざるを得なかったのだろう。

いつの間にか、誰も文句を言わなくなり、みんなが俺を受け入れていた。



……ここでの生活は、確かに安定していたと思う。



アジトはただの暴走族の集まりとは思えないほど広大で、俺たち兄弟が快適に生活できる専用の部屋まで用意してくれて…朔は言葉通り、妹と弟面倒もこの安全なアジトの中で完璧に見てくれたのだ。


一体どこからこんな莫大なお金が湧いてくるのか……。

そんな疑問を抱くことは恐怖でしかなかったし、尋ねてはいけない領域だと勘付いていたから、俺は途中で考えること自体をやめた。



けど…俺の心はちっとも安定しないまま。



生活に困らなくなっても過去の手の汚れが消えるわけじゃないし、ここで暮らす限り、俺は能力を使って貢献しなければならなかった。



役に立たなければ、きっと捨てられる。

もうあの生活に戻るのは御免だ。



でも、仲間の中にいてもどこか独りで。



そんな俺に、ある時朔が言った。



「…気分転換に、学校にでも行ってみたら?きっと、気持ちを整理する時間が必要なんだ。金なら僕が出す」



今更学校だなんて、面倒くさい。


そんな場所に行ったところで自分の惨めな人生が変わるわけでもないし、必要性なんてどこにも感じられなかった。

……でも。



「天音」



栗栖天音という名を捨て、偽名で呼んで欲しいと頼んでいるのに朔だけはいつもそう呼んでくる。



なんでここまで自分に良くしてくれるのか理由は分からなかったけど……。

朔だけは……この広い世界で、俺という存在をちゃんと見てくれていた気がした。


そして俺は一言も学校に行くなんて了承していなかったのに、朔が勝手に願書を出して手続きを進めてしまったので、俺は半ば強制的に入学試験を受けることになった。


……まあ、今までまともに学校に通って勉強なんてしてこなかったし、どうせ不合格で落ちるでしょ。

そうタカを括って臨んだ試験。



なのに……なぜか拍子抜けするほど余裕で合格してしまった。



吸血鬼は生まれつき頭脳のスペックも高いらしい。

無駄にスペックが高い自分自身に嫌気がさした。



そうして俺は、『白星学園』へと入学することになったのだ。



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