【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
でも、朔の時とは明確に違う点が1つ。
「あ、やっとこっち見た」
いたずらっぽく笑いかけられると、冷たく当たる気力さえも失せてしまった。
多分、いくら突き放してもこいつは俺に話しかけてくる。
「お前…マジでしつこい」
「天音って、わざと人と関わらないようにしてるよね」
「……。」
いきなり呼び捨てで馴れ馴れしいし、ズケズケと俺の事情に踏み込んで来て。
「俺、生徒会長なんだけどさ」
「…は?1年で?」
「去年の代でみんな卒業したんだって。んで、学校から頼まれた。」
そう言って肩をすくめる叶兎は、全然“面倒な頼まれごと”を押しつけられた感じじゃなかった。
むしろ楽しんでるようにさえ見える。
…だからって入学したての1年生で生徒会長になる事ある?
「でも人数足りないんだよねー。最低あと三人必要でさー」
…何でそこで俺を見るんだよ。
わざとらしいくらい、視線を向けてくる。
「だから天音、生徒会入らない?」
「……は?」
あまりにも自然に言うから、一瞬意味がわからなかった。
どういう思考回路してたら俺を生徒会に入れようってなるんだよ。
「強そーだし」
…はっ、結局それか。
「……断る。結局力目当てかよ」
思わず冷たく吐き捨てると、叶兎はパチッと目を丸くしてから、ゆっくりと首を横に振った。
「違う」
その声色は、今までと違って真剣だった。
「そもそも俺、お前の能力なんて知らねーし。能力とかぶっちゃけどうでもいい。だって、俺が一番強いから」
心臓が一瞬、止まったみたいに固まった。
……え、なに?
遠回しに俺のこと『お前より俺の方が強い』ってディスられた…?
なんだか毒気を抜かれて、拍子抜けしてしまう。
「何か、天音からは強い意思というか…譲れない覚悟みたいなものがめちゃくちゃ伝わってくるんだよねー。俺、そういう骨のある奴が欲しいの。」