【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「それで…」
その銀髪の男の人は、叶兎くんのすぐ後ろで縮こまっている私へとすーっと視線を移した。
あまりに鋭く整った目元に見つめられ、私は反射的に小さく息を呑んで視線を下に逸らしてしまう。
「あの叶兎さんが女を…?」
「あの子は一体…」
ヒソヒソという呟きとともに、周囲に並ぶ怖そうな男の人たちの視線が一気に私へ集中した。
そ、そんなにこっち見ないで!怖い!
…だって仮にも暴走族のアジトってことでしょ?ここ。
「この子が朝宮胡桃ちゃん?」
そして私の知らないところで私の名前を知られてるのは何故…
「そ。訳あってBSに狙われてるみたいで、学園の生徒ってのもあるから生徒会で守ってる。BSが胡桃を求めるのには何か裏がありそうだから、お前らも胡桃のことを守って欲しい」
説明を終えた叶兎くんは、怯える私の方を振り返ると、ふっと力みの抜けた優しい笑みを浮かべた。
「俺の仲間達、みんな良い奴だから安心して」
不安な気持ちが少し和らいでいくのが分かる。
ちょっと怖いけど…叶兎くんがそう言うならきっと良い人達なんだろうな。
『…うん、ありがとう』
いつにも増して柔らかい表情。
ここでは肩の力を抜いて穏やかな顔をしているようにも見える。
きっと、ここにいるみんなの存在は叶兎くんにとって心を安らげる大切な居場所なんだろうなと感じて、なんだか胸が温かくなった。