【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「あ、でも」
…!!
安心したのも束の間、横から叶兎くんに急に腕をぐいっと引っ張られ、そのまま彼の胸の中へと抱き寄せられた。
え、何、急に何!?
「胡桃は俺のだからあんまじろじろ見ないで」
『ちょっ…!』
何か、デジャヴ……
その瞬間、周囲から歓声が上がる。
ここにいるの多分私以外全員男だから、歓声もイカつい。
「自分から連れてきといてそれ言う?」
後ろに立っていた天音くんが、呆れたように肩をすくめて叶兎くんを揶揄う。
叶兎くんは抱きかかえた腕を離さないまま、天音くんに向かって冷ややかな白い目を向けた。
「うるさい、これお前にも当てはまるからな?」
「はいはい」
この2人って、仲良いんだか悪いんだか…。
その後、叶兎くん達は片付けておきたい仕事があるからと言ってそれぞれどこかに行ってしまった。すぐ戻ってくるから少しだけ待っててと言われたものの、
私ここにいて良いのだろうか…?
「あいつ、連れてきといて女の子1人ほったらかしなんて酷いな」
「いえ…みんな忙しそうだから邪魔するわけにもいかないし…いつも助けてもらってますから」
見上げると、声をかけてくれたのはさっきの銀髪の男性だった。
ぱっと見はチャラそうだしイカつい印象だったけれど、話してみると口調も物腰も柔らかくてホッとする。
「俺、水野流風、流風でいい。あとタメで平気。せっかくだから少し話しない?」