【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「へぇー、じゃあ付き合ってる訳じゃないんだ?」
『付き合ってないからっ…!』
思わずドンっと机を叩いてしまって、空のコップがカタンと床に落ちた。
向かいのソファーに座る流風くんはどうも私と叶兎くんが付き合ってると思っていたらしい。
「でも、叶兎が女の子連れてくるなんて初めてなんだよ」
私が…初めて…?
「あいつめちゃめちゃ女嫌いだからな。だから、突然女から吸血するようになったとか、ここに連れてくるとか聞いた時正直ほんとかどうか疑ったよ」
まぁ……確かに初対面の時の叶兎くんの態度すごかったもんな…
あれは印象強すぎて一生忘れないと思う。
「……実際のとこ、胡桃ちゃんは叶兎の事好きなの?」
『──ゴホッ…!!』
ちょ、流風くんさっきからストレートすぎません?!
喉を潤そうと口に含んだばかりのお茶を、危うく盛大に吹き出すところだった。
激しく咳き込みながらコップを一旦机に置き、深呼吸をして落ち着こうと試みる。
「好きなんだ?」
流風くんは肘をつき、楽しそうに私をじっと見つめてくる。
まったく話題を変えてくれる気配がない。
………う、これは
私が答えるまで続ける気だな…
叶兎くんのことは…好きか嫌いかで言ったら、
…………好き、だけど…
『…よく、わかんない。それに、叶兎くんが私を特別視するのは…やっぱり血が目当てだと思うし…』
血だけを目当てに関わってる訳じゃない、って、好きだよって、そう言ってくれたけど……私のこと好きになる要素なくない?
やっぱり、特殊な血を持っているから優しくしてくれるんじゃないかって、どうしてもネガティブに考えてしまう。