総長は、甘くて危険な吸血鬼




…………え、どういう、こと?

だって、叶兎くん、“女嫌い”って…


あの子は誰?吸血鬼…?


血を吸われても、叶兎くんの表情は穏やかで、嫌そうでもない。むしろ優しい。



ズキって胸が痛んだ。

なんか、嫌だな…



さっき叶兎くんが言ってくれた“好き”は、やっぱり嘘だったのかな。

結局、私を特別扱いするのは、私の血が欲しいだけなんだ。



わかってたのに

わかってたはずなのに

改めてこうやって現実を突きつけられると胸が締め付けられる。



「あれ、胡桃ちゃんどこ行くの?!」



いてもたってもいられなくなった私は流風くんの呼びかけを気にも止めず、逃げるように建物の外へ飛び出した。

叶兎くんに、どんな顔して会えばいいか分からない。

どこに向かう訳でもなく、ただひたすら走った。



ほんと私どうしちゃったんだろう…


このモヤモヤは何…?



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