私を、甘えさせてください
空川さんは、新しいボスと方針が合わずに辞めたと言っていたはずだ。

そう・・ではなかったということか。

それだけじゃなく、不倫相手がいて、未だに関係が続いている・・・・。


私を抱く空川さんの腕は、私だけじゃなく、他の誰かも抱いている ーーー


カタカタと、コーヒーの入ったカップが音を立てる。

カップを持つ私の手が小刻みに震えていたからだ。


「おい、大丈夫か」

「・・大丈夫なわけ、ないでしょ・・」

「俺の言ったことを信じるかどうかは美月の自由だけど、あいつに直接聞いたところで、本当のことを言うかどうかは怪しいところだ」


それは確かにそうだと思った。

問いただしたとしても、それが真実かどうかを知るすべが無い。


「美月、今日は帰れ」

「でも、セミナーの立ち合いがあって・・」

「そんなの俺が変わる。今日は冷静に仕事なんてできないだろ」

「井川・・」

「今日の分、落ち着いたら晩メシでも付き合ってもらうから」

「うん、分かった」

「オフィスからバッグ持ってきてやるから、ここで待ってろ。な?」


そう言うと、井川は立ち上がってカフェを出て行った。

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