私を、甘えさせてください
のろのろと、自分の家までの道を歩く。


履き慣れているはずのハイヒールが、今日は辛い。
足が痛い・・。

公園のベンチに座り、ハイヒールを半分脱いで足をブラブラさせながら考えた。


もう、本当に終わりにしなきゃ。


その時、バッグの中のスマートフォンが震える。

着信元は・・空川さんだった。

ドアポストの合鍵を見つけたからだろうか。

でももう、話すことなんて何も無い。


井川から聞いたことの半分は、事実なのだと分かった。

不倫相手かどうはともかく、愛する人がいることに違いはなかったから。


私は、震え続けるスマートフォンの電源を切った。


「あー、もう、やっぱり仕事に生きるしかないのかなー」


声に出して言ってみると、なんだか吹っ切れる気がした。

思い切って、転職活動でもしてみようか。


何か方向が変わるような動きをしないと、とてもこの状況を乗り切れない気がした。

空川さんは、私の上司・・。

あのオフィスにいる限り、避け続けることは不可能なのだから。

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