私を、甘えさせてください
俺? 香港は、俺・・。



「え、ええ、えええーーー!!」



「美月、しーっ! 声が大きい」


周りを見渡すと、確かにチラチラと視線を感じる。

でもでもっ、だって!!


「ご、ごめん。あまりにも驚いて」

「驚く?」



「・・・・私も、香港」



「え?」



「私も、香港」



「・・・・嘘だろ」



「もしかして、ふたりとも・・・・?」



彼は立ち上がり、覆うように周りから私を隠してキスをした。


「拓真・・」

「美月、早く帰ろう。もっとキスしたい」

「あ、うん」


手を引かれ、通りに出てすぐにタクシーを拾う。

家に向かう途中、もうひとつの質問を彼にした。


「ね、拓真、教会のことなんだけど・・」

「あー、優がバラしたのかよ〜」

「それって・・」

「まぁ、今となっては・・なんだけどさ。

美月が、仕事辞めて俺と一緒に行くって言ってくれたら、せめて結婚式だけでもしてやらないと・・って考えてたんだよ」

「・・仕事、辞めない場合は、どうなるの?」

「んーーー、ちょっと想定外なんだよなー。美月、どうしたらいいと思う?」


そんな話をしている間に、彼の家に着いた。

玄関に入るなり、キスの雨が降り注ぐ。


「そうだ、美月に見せたいものがあるんだ」


こっちこっちとリビングに連れていかれ、ソファに促される。


「美月、ここに座って」

「何? 改まってどうしたの?」


「うん・・。

短い間にいろいろあったけど、俺、いつだって美月が好きで、本当に死ぬまでそばにいたいんだ。

そばにいてくれって言ってるんじゃない。俺が、一緒にいたいって強く思ってる。

美月が俺を受け入れてくれるなら、これを受け取ってもらえないかな」


彼は、小さなケースの蓋を開けた。

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