キミの愛情120%


話していた女子生徒が先輩から離れたのを見て、見つからないよう出て行こうとしたら。


「諒~~っ!!」


また女子生徒が一人、飛びつくみたいに先輩に抱き着いた。

「うお。なに、どしたの」

「彼氏と別れた……。アイツ浮気してた! ほんとキモいんだけど!」

「え、マジで? 大丈夫?」

「無理、超無理。お願い諒、今日だけでいいからアタシと夜まで一緒にいて」


え……。

大声で彼氏と別れたという女子生徒は、先輩の胸でしゃくりあげながら泣いている。

優しい先輩はされるがまま、気の毒そうな顔でちらりとスマホを見て、目を伏せた。



「……ん。いいよ、わかった。教室行こっか」



先輩は泣きじゃくる女の子を支えるように、階段の方へ歩いていく。

その後ろ姿を見ながら、今日マルやチョコちゃん、サオリさんに言われた色んな言葉が頭の中で浮かんでは消えた。二人の後姿が見えなくなるまで、その場に突っ立っていた。


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