極上の愛に囚われて

 彼はずるい……。

「ところで、沙雪。今日のパーティではたくさんの男性に話しかけられていたね」
「えっ、見てたの?」
「もちろん。僕はいつだって沙雪のことを見てるよ。俳優の陣内雄介もいただろう。口説かれた?」

 私を見つめる彼は、少し眉根を寄せていて怖い顔をしている。

 そんな表情にもドキッとして、『嫉妬してくれてるの?』とか『独占欲があるの?』なんて期待しまうから、恋は残酷だ。

「ぜーんぜん、そんなことなかった。話題はお仕事のエピソードオンリーだもの。だから弱小なわが社の繁栄のため、ひたすら名前を売り込んだわ。社長命令だったし」

「ふぅん、そう? きみを口説くのが目的だったと見えたけど。プライベートの連絡先を教えてない?」

「聞かれてないもの。アヤコさんの一件で翔さんに話しかけられたから、すごく目立ったもの。それでタレントだと勘違いした人たちが『どこの事務所の所属ですか?』って声をかけてきただけ」

 イベント会社勤務だと言ったら、ほんとうに仕事の話ばかりになったのだ。

「そうか……」

 翔さんは安堵したように呟いてカクテルグラスを傾ける。
< 18 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop