極上の愛に囚われて

「こ、こども……そりゃあ、結婚すれば子ができるけれど」

 ほんとに私でいいの?

「僕は愛する女を妻に迎えたい。沙雪しかいない」

 彼は私の左手を取って、指輪を薬指にはめてくれる。

 自分の手にある煌めく石を見つめると、自然に涙が零れてきた。哀しい涙は一生分流れたけれど、うれし涙はたくさん残っているみたい。

「僕は沙雪を絶対に逃がさないし、誰になにを言われても手放すつもりはない。イエスと言うまで帰さないよ」

 彼の語気から決意のほどが伝わってくる。

 そうだった、彼は必死になると強引な人だった。出会った時のことを思い出して、笑みがこぼれる。

 逃げようとしても、サクッと抱きかかえられて彼の元に戻されるのだろう。

 指先で涙をぬぐって、彼をじっと見つめる。

 二重のクールな目には、いつも感じられていた不安も憂いもなくなっていて、自信に満ちた強い輝きがあるのみだ。

「……私で良かったら、お嫁さんにしてください」

 恥ずかしくなって下を向くと、ぎゅっと抱きしめられる。

「傷つけて不安にさせた分の一億倍、幸せにすると約束する。沙雪はなにも心配せずに、僕のところにきてくれればいい」
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