夜を照らす月影のように#4
「……メル!もしかして、ノワールの邪魔でもしてたの?」

リオンは真っ直ぐとメルを見つめていて、メルは「してないよ。ただ、ノワールと他愛もない話をしてただけ」と微笑む。

「……それを、邪魔をしてるって言うんだよ……」

呆れたように笑うリオンを横目に、僕は「まぁ……いい息抜きになったよ」と返すと万年筆と原稿用紙を片付けた。

「それで、今日は何の本の世界に入るの?」

椅子から立ち上がってリオンを見つめると、リオンは「この本だよ」と僕に表紙を見せてくれる。

表紙には『地獄からの使者』と書かれてて、僕は「……地獄が舞台の話か……」と呟いた。

この本は悪魔の男の子が主人公で、地上で出会った人間の男の子から色々と学んでいく話なんだ。

「……とりあえず、全員いるみたいだし行こうか」

静かに部屋の隅で立っていたエリカさんを見つけて、僕はそう呟くとリオンから本を受け取って、本を床に置く。

「魂を食らう度に、僕の中から何かが消えていく気がした」

僕がそう言い切った瞬間、僕の目の前は真っ暗になった。



「……何だ、こいつら……」

気が付けば僕らは蒸し暑い場所にいて、僕らの周りをゾンビや包帯を巻いたミイラなどに囲まれていた。

「これも、物の怪なの?」
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