LEVEL
"それだけ?"
酷いよ。
岡田くん、酷いよ。
アタシ、頑張ったんだよ?
怖くて力が入らなくて壁に寄りかかった。
また涙が出てきた。
「っく、……っ…」
"たまにはいいんだよ"
"岡田くんだって理解できてるよ"
西部さん…本当?
岡田くんは溜め息をしてめんどくさそうにゆっくり立ち上がった。
ビックリして慌てて鼻水を吸って、涙を制服で拭いた。
「何泣いてんだよ(笑)」
笑うなんて酷い。
「本当にそれだけだろーな?」
「ズズッ」
「鼻水で返事するな(笑)」
「っく、…してないもん」
「本当にそれだけだろーな?」
「う、うん」
ズンズン前に歩いて来た岡田くんはいつの間にか目の前にいた。
アタシがうなずくと岡田くんはニヤリと笑った。
「?」
「じゃーこの仕事、全部2組な?やったー俺等何も準備しなくていいしー」
アタシが持っていたプリントを乱暴に取って言った。
「だっ、ダメ!!!滝くん忙しいし、井坂くんは最近ケガしちゃったし浜田さんと沖本くんと西村くんと成瀬さんは補習だもん…」
「嘘だっつーの。んなマジにすんなよ(笑)んな事したら原ティーに怒られんだろ」
ヘラッと笑うとうわっ気持ちワリと言われた。
「…」
「嘘だって!!ここじゃー寒ぃから教室で話そ」
「うん」
ねぇ岡田くん。
今日は一段と意地悪だったね?
今日は一段と笑ってたね?
アタシは強くなれましたか?
「頑張ったじゃん」
「えっ!?」
「アンタの事褒めたけどもぅ二度と言わねー」
舌をベッと出して岡田くんは屋上に続く階段を降りた。
アタシは強くなれたらしいです。
ねぇ岡田くん。
アタシ、ちゃんと聞いてたよ?
アタシ、もぅ一度アタシを褒めた岡田くんの言葉を聞きたかったの…。
ねぇ岡田くん。
もぅ外は真っ暗だよ。