LEVEL











鞄を持って図書室に向かう途中。

「杉浦…さん…」
「渡部くん……」
サッカーがまあまあ強いこの学校で夏休みからベンチ入りしている渡部くん。

「あの…」
「?」
渡部くんはアタシを呼んだのに言わないでちょっと下を見ていた。

「?」
「あのさ///」
いきなりの大きな声に肩をすくめた。
アタシはまだまだ弱いのかな?

渡部くんは大きくて白のスポーツバックを肩にしょって、制服のズボンをギューって掴んでいた。
その姿にもかっこいいと思えた。
今のアタシは臆病で男好きだと考えたら最悪の組み合わせだと1人で落ち込んでいた。


「〜っ///いきなりで悪いけどっ!!」
「…は…い……」
何でだろ……。
すごい緊張するんだ。
アタシは何も話さないでいいのに。
今のアタシには渡部くんの大きな声よりも緊張の方に心を奪われて驚かなかった。















「………付き合って……くれない…かな……?」





………え?

えーえーっとぉ……;;




「……どこに…?」

「は?」
「え?」
「プッ…杉浦さんウケる…」
「あっいや、その……///ってか杉浦でいいよ///」
少しでも話を変えたかった。
「そぅ?じゃー俺は太一でいいよ」
渡部くんの下の名前って太一だったんだ…。


「あのね太一くん……」
さっきよりも緊張してるよ。

「こ、こーゆーの……初めてで…。……だから…待ってくれない…かな?」
「いいよ。……メアド、きいてもいい?」
「あっうん!!」
すぐに赤外線でメアドを交換した。


太一くんは「部活頑張ってね」と言うと元気よく走ってグラウンドへ向かった。

アタシは……フラフラと歩きながら図書室へ向かった。








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