死んだはずの遠藤くんが教室に居る話
「悪い悪い。でも僕はきっとスライムにもなれないと思う。みんなに変な影響うけさせて、怖がらせたりしたし。体力も奪ってしまったし。昨日爆睡させてごめんね」
 遠藤くんはそう言って、教室の後ろの扉をじっと見ていた。

 僕はまた何かあるのかと、不安になりながら一緒に扉を見つめてしまう。

「内田くんの迷路を解いてからあっちに行こうと思っていたんだ。難しくて解けなかったけど」

「簡単に解けたら面白くないし」

「たしかに」

「難易度高かったかな」

「もう会えないけど、元気でいてね」
 唐突にそう言われてしまい、僕はうろたえた。

「遠藤くんも」
 元気で……っていうのも変で、僕は言葉に悩んでしまった。

 と、そんな時
 後ろの扉から北沢がやって来た。

「遠藤くん?」
 北沢は驚いた顔で僕たちを見て駆け寄った。どこかの懐いている小型犬のようだった。

「わぁ!もう会えないと思っていた。嬉しい。内田くんもどうしたの?」
 北沢の心からの素直な声に遠藤くんは微笑んだ。

「北沢こそ」
 急に現れた北沢に僕のほうが驚いてうろたえていた。
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