貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 あまりにも大量のお菓子を見たナディアが、自分つきのメイドたちにもわけようと言ったからである。

 獣人の少女たちは大喜びで自分たちの分の茶を用意し、メイド同士で話し込んでいるというわけだった。

「エスタレイクは日中もこんなに肌寒いのね。フアールはまだ夏がようやく落ち着いた頃だったのに」

「キルシュフェラーから吹き込む風のせいです。これでも気温が高いほうですよ。冬場は常に雪に覆われ、吐く息も凍りつきます」

 そんな寒い日々を思い出したのか、エセルが肩をすくめる。

「冬まで迷惑をかけずに過ごせているといいのだけど。それで、用とはなんなの?」

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