貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 エセルの願い通りかどうかはともかく、ゲルハルトとナディアは互いに共感した。

「さすがに私も仕事を放りだして逃げるわけにはいかないのよ。あなたのことを知りたい気持ちもないではないし」

「俺を知ってどうする。おまえたちからすればただの獣だ」

「あなただから言うけど、私も最初はおそろしい蛮族なんだって思ってたわ。だけど今は違うってわかってる。だからもっとちゃんと知りたいの。それっておかしいかしら?」

 最初にナディアのそんな偏見を変えたのは、ほかでもないゲルハルトだ。

 気恥ずかしくて本人には言えないが、涙に濡れたあの夜、ゲルハルトの慰めがなければ今ほど前向きに生きていない。

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