政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
予約時間数分前に受付を訪れると、すでに病院長である主治医が診察室で待っていると案内された。
さっきまであまり感じていなかった不安が、病院内の広い廊下を歩きながら募っていくのを感じる。
こんなに突然体調不良に悩まされて、もし何か重大な病の前兆だったらどうすればいいのか。
手の施しようがない病なら、この先拓人さんに迷惑をかけてしまう。
「連城さん、こんにちは。お加減はいかがですか?」
通された診察室には、にこやかに主治医の水瀬病院長が私たちを迎え入れてくれた。
「こんにちは。よろしくお願いします。先生、妻の検査の結果は」
拓人さんは診察室に入るなり、急かすように先生に迫る。
先生は穏やかに笑みを浮かべ「どうぞおかけください」と用意されたふたつの椅子を私たちにすすめた。
パソコン画面を眺める水瀬先生の顔を盗み見て、不安に高鳴る心臓に手を置く。