政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
そんな家柄の御曹司でありながら、拓人さんは眉目秀麗で人目を常に引く存在でもある。
幼い頃はどこか中世的な顔立ちで可愛らしさもあったものの、それは成長と共に美しく変化していった。
端整な顔立ちに加え、身長も思春期あたりからぐんぐんと伸び、今では見上げるほどの高身長の持ち主だ。
『RENJYO』の世界進出に精力的に取り組んでいる拓人さんは、『若きホテル王』とメディアにもたびたび取り上げられる。その完璧な容姿も相まって話題になるほどだ。
「今晩はリクエスト通りビーフシチューを作りました」
リビングに入っていく拓人さんのあとについていきながら、スーツの背中に声をかける。
拓人さんはジャケットを脱ぎ私に手渡した。
「じゃあ、早速いただこうかな」
そう言って手を洗いに踵を返した。
その間にジャケットの手入れをし、ウォークインクローゼットをあとにする。
リビングに戻ると、拓人さんはタブレット端末を手に難しい顔をしていた。
帰宅しても仕事から完全に離れることは難しいようで、こんな様子は珍しいことではない。