政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「魅力がない? そんな卑下したら、世の女性に失礼だよ。茉莉花さんは魅力的すぎる」
「そ、そんなこと」
「もっと早く君に出会っていれば、俺は間違いなくアプローチしたよ、茉莉花さんに」
お世辞以外の何者でもないのはわかっているけれど、女としてもう少し自信を持ってもいいのかと少し救われた気持ちが湧き起こる。
「ありがとうございます。そんな風に言ってもらえて、まだ女性として終わってはないのかなって、ちょっと自信になりました」
「でも、どうして拒否なんて?」
「それは……私が無知だからで……お恥ずかしながら」
あっ、と思って口を押さえる。今日は本当に口を滑らせてばかりで困る。隆史さんが何か話しやすいオーラでも放っているのかと疑うくらいだ。
「あ、ごめんなさい。私、つい長話に付き合わせてしまって。帰宅の途中だったのに──」
「それなら」
「っ!」
急に距離を詰めた隆史さんが私の二の腕をそっと取る。
驚いて身を引いたところを、反対の腕も掴み取られた。
何事かと身構える。
隆史さんは薄っすらと笑みを浮かべたまま、固まった私を覗き込んだ。
「俺と、練習しようか?」
わずかに腕を掴む指先に力が入るのを感じ、一気に恐怖に襲われる。
唇を目指して近づいてくる隆史さんの顔にから逃げるように、力いっぱい顔を背けた、そのときだった。