政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


 拓人さんに手を引かれて向かったのは、ホテル上層部にあるエグゼクティブフロア。

 一般の利用客が立ち入ることのできない特別フロアは、エレベーターの専用口にカードキーをかざすことで向かうことができる。


「お腹は空いているか? 何か食べたいものは」

「それが、実はあまりお腹が空いてなくて……」


 お昼以降、家にいる間に何か食べたわけではないけれど、お腹が空いたと思えるほどの空腹感がない。

 拓人さんから連絡をもらって、それだけでずっと胸いっぱいになっているからかもしれない。


「それなら好きなものを少し食べればいい」

「ごめんなさい。食事にって誘ってもらったのに」

「いや構わない。俺もそこまでではないんだ」


 ヨーロピアン調の格式高いエグゼクティブフロアは、今日も静粛で特別な空気が流れている。まるで、ここだけ時間の流れがゆっくりなようだ。

 ラウンジには利用客の姿はなく、カウンターの向こうに上品に頭を下げるスタッフの姿があるのみ。

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