国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
「疲れてるのは久嗣でしょ」
「……疲れちゃいないよ」
疲れているはずだ。こんな仕事ばかりの生活で疲れないほうがおかしい。最近の久嗣はとくに顕著だ。時差のせいか普段より口数が少なく、輪をかけてクールな雰囲気を醸し出している。そんなに仕事に没頭する理由を、私は疑っている。
散歩に出掛けるにはがんばりすぎている私の服装にも、凌太のスタイにも気づかない。
飾った服が鉛のように重く、久嗣の遠いうしろ姿に目眩がする。
──離婚するんだろうな、私たち。
はっきりとそう感じていた。私と久嗣は夫婦になるとき、ひとつだけ、ほかの夫婦にはない約束をしている。
『この子が一歳になるまでは夫婦でいるって約束して。それまでに本当の夫婦になれなかったら、別れるから』
彼と愛し合える本当の夫婦になりたくて私が持ちかけた提案だった。あのとき久嗣が『わかった』と言ってくれたのは、言葉通りの意味だったのだろう。