国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

私、加能玲菜(二十七歳)は、加能久嗣(二十九歳)と間違いなく夫婦である。加能家はひと月のほとんどを海外出張で飛び回っている夫と、彼を待つだけの妻、そして私たちを繋ぐたったひとりの息子、凌太の三人だ。

ベビーカーの横を歩く彼の背後を、物足りない気持ちで着いていく。久嗣はうしろ姿まで完ぺきで、とても子持ちのパパだとは思えなかった。ベビーカーもまるで似合っていない。

きっと独身のままでいたかっただろうな。彼がまだ独身だったとして、二十九歳のエリート弁護士である久嗣が今ごろ付き合えていたであろう華々しい女性を想像してみる。そのようになろうと私も努力をしてみたが、虚しいだけでなにも変わらなかった。

それに久嗣に好かれていない以上、なにをしても私のひとり相撲なのだ。

「黙ったままでどうしたんだ。疲れたのか?」

久嗣はマンションへの大通りで足を止め、私を振り返った。
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