国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

私の人生はきっとこのヒロインのようにはいかないのだろう。ニューヨークシティにはこんなにたくさんの人がいるのに、まるで世界にひとりだけのような心地になる。
このまま夢も叶わなければ恋もできないまま、時間ばかり過ぎていくのかもしれない。
もう、あきらめなければいけないのかな……。

映画は決して感動する類のものではなく、もどかしい大人の恋だった。しかしシアター内で私だけすすり泣きが止まらず、やがて周囲が泣いている女を探そうと頭を動かす様子がいくつも見える。

「ううっ……う、うぅ……」

大人なのにこんなところで泣くなんて情けない。しかし異国の地で縁のないラブロマンスを観て、ちっぽけな私が余計に小さな存在に思えて、泣きださずにはいられなかった。

「うううっ……うぇえん……う、ゴホッ、ゴホッ!」

今度はむせた。こちらを振り返る頭がどんどん増えていく。唇の端から端まで合わせる濃厚なキスシーンで咳き込み、迷惑そうな「オーマイガ」という声が聞こえてくる。
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