国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
「……使いますか」
顔が見てみたくてハンカチを差し出してみた。彼女が顔を上げる。暗い中、スクリーンの光に照らされた涙目のその顔は、息を呑むくらいに綺麗だと思った。激しく咳き込んだのだからもっといろいろと崩れているかと思ったのに、予想外の妖艶な姿に目が離せない。
彼女は驚いたのか固まり、しばらく俺を見つめていた。心臓が大きな音を立てており、目の前の瞳に吸い込まれそうだった。
そのまま彼女と他愛もない話を続けながら、俺は頭の中で二択を迫られていた。
このシネマを出た後、彼女とは他人になるのか、ならないのか。
今まで女性に誘われることはあってもこちらから誘うことはなかった。彼女に誘われたら俺は間違いなく了承するが、今のところその様子はない。
このままなにもなく家に帰ったら、俺は彼女にまた会えないかと何度もシネマに足を運ぶようになるだろう。
「映画見てます?」
それなら今夜、知り合った方がいい。
そんな思いで彼女を誘った。