クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
『あのな。遊びじゃないんだよ。楽しんでる場合じゃないの。』

逢和君が叱りつけるようにピシッと言った。

『さっきすげぇ楽しそうにしてたのはどこのどいつだよ。』

『あん?楽しんで何が悪いんだよ?』

『…』

清々しいほど矛盾してる逢和君にキヤ君が唖然としてる。

「…寧々。近海っていつもこんな?」

白い目で逢和君を指さす姫ちゃんに聞かれて、私は言葉に詰まる。

逢和君は悪びれない顔だ。


『…つか昼飯行こうぜ。見ろよ、あそこの二人の顔。空腹が手伝ってすげぇ剣幕。』

キヤ君が指差す図書館入口の方には、腕を組んでこちらを見下ろし仁王立ちするカベ君、花乃ちゃん。

顔に張り付けた笑顔が余計に怖い。


『お〜こわ。ほれ、行きますよー!』

キヤ君が言って、私たちも立ち上がる。

「あ…えっと、じゃあ…」

と言って電話を切ろうとすると、

『あ、待って』



逢和君が、ちょっと声のトーンを落とす。



『…もう一回、俺の名前呼んで…?』

「…!」





切なさがにじむ声に、胸がギュッと掴まれる。

逢和君の視線は、甘い。




いつの間にか喉がからからになっていて、私はゴクッと喉を鳴らした。
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