クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「せっせらぎさぁーん!!」

反対の遠くの方から明るい声で名前を呼ばれて、振り返る。

「…あ、遠野君。」

「大丈夫ー!?」

遠野君が自身の着ているジャージを脱ぎながらこちらに向かって走ってくる。

「寒くない!?俺のジャージ貸してあげ…ぐぼぉ!!」


真横から逢和君の綺麗な飛び蹴りが遠野君の顔に入った。


…あれ?逢和君さっきまで全然違うところにいたような…?


逢和君はビーチに突っ伏す遠野君に乗っかって、ゼェゼェ息を切らしてる。

「ハァ、ハァ、またつまらぬものを、蹴ってしまった。」

「おい!誰がつまらぬものだよ!」


逢和君、なんだかいつにも増してアクティブ…?


「おーいチカー!何してんだよー!!」

逢和君の班の男の子が、ビーチボール片手に呼びかけてる。

今まさに試合の真っ最中みたいだ。

「ごめーん!やっといてー!」

「はぁー!?」

逢和君はそう叫んだあと、私に視線をよこした。

ずっと見ていた逢和君と急に目があってしまいドキッとする。
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