クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
「おいチカ!いい加減戻れよ」

「あっごめんごめん」

「ったく~!」

班の子に呼ばれて立ち上がった逢和君が、遠野君の肩を持って連れていく。

「え?なんで俺まで!?」

「次出番だろ遠野」

「あれ?そうだっけ?」

楽しげに会話しながら逢和君たちはまぶしい太陽の元に戻っていく。

私はその背中を見送りながら、体育座りする自分の膝に顔を埋めた。




…紙飛行機を飛ばし合ったあの日以来

面と向かって話したりできない私と逢和君は、
こんな風にこっそりコミュニケーションを取るようになった。

あの日、逢和君と近付けないと分かってショックを受けた私だったけど

…正直、やばい。

やばいよやばいよ、やばい!

近づいてないのに、

毎日毎日、キュンが止まらない…!!

あの、みんなの逢和君とこんな、こっそり…

天使の笑顔、独り占めできちゃうなんて。

アレルギーの件がいいほうに作用して、距離は遠いけど、心は近くなったような…

なんていうか、ちょっと特別になれたような気がして。

今日も逢和君と触れ合えたことに、顔がにやけちゃう。

恥ずかしくて嬉しくて、くすぐったい。

私は周りに誰もいないのをいいことに、一人で足をバタつかせて悶えた。

…とはいえ、逢和君には大体いつもさっきみたいにバカにされることが多い。

それでも嬉しいと思っちゃう私、色眼鏡が相当分厚いのかもしれない。

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