クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
私は花乃ちゃん達に手を振って、元いた場所へと早足で向かう。



「…ッハァ、ハァ、」



はやく、はやく…


私ははやる気持ちを抑えきれなくて足をどんどん早めていく。




「…っあ!」

ドシャッ。


そして何にもないところでコケた。


『転ばずに走れただけで泣いて喜ぶレベル』


…花乃ちゃんの言う通りでした。







「なーにしてんの」


数メートル先、建物の影から聞こえる呆れた声に、胸が躍る。


「あ…逢和く…っ」

「は……クシュン!」


あ、と思った時にはもう遅くて、逢和君が大きなくしゃみをした。

手を合わせて頭を何度も下げる私に逢和君が目尻を下げて笑う。

「ハハッ、なんか久しぶりだ。」

そう言って鼻を啜った。


…かわ、かわい…!かわいい…!


その可愛い笑顔だけで胸がキュンキュンしてしまって、疲れやらなんやらが全部吹っ飛んで浄化されてしまった。

逢和君がこっち、と手招きして踵を返し、真っ暗な中を歩いていく。

その背中を追いかけながら、逢和君がくれた『広場に集合。』と達筆で書かれたメモをポケットにしまった。
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