クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
逢和君はうろたえる私をただ静かに見守っていて、その顔がやっぱりカッコよくて、私はさらにうろたえる。


「…寧々は?」


逢和君が表情はそのままにじ、と私を見つめて言う。


「寧々は俺と話せなくても…俺が他の女子と話してても、なんともなかった?」

「…」


…なんで

そんなこと聞くの?

なんともなくなんか、ないよ

全然なんともなくない

逢和君の気配を感じる度にドキドキして

逢和君の隣に女の子を見つける度に心臓がギュッと掴まれて

その度、逢和君が遠く感じて、痛くなって




「…」




私は落とした木の棒をもう一度拾った。


ザ、ザ、と地面を擦る音だけが、静かな公園に響く。






【逢和君のカレー、食べたかった。】




木の棒を置いて、しゃがんだまま逢和君を見上げた。

…うん。これに尽きる。


「…フハッ。そこかよ。」


逢和君が吹き出して、私もつられて笑った。





「……かわいい」





ボソッと逢和君から聞こえた言葉に、笑いが止まった。


え…?今、かわいいって…


逢和君は身を屈めて滑り台を滑って降りると、


「…!?」
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