クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜
それから木の棒を拾って『なんのこと?』と地面に書き出す。

滑り台の柵に頬杖をついてそれを静かに見守っていた逢和君は、軽くため息をついた。


「んー……遠野とか田沼とか、あと木村もさぁ、」

と、そこまで言って逢和君は私の顔をじっと見つめる。


…?

遠野君、木村君は分かるけど…田沼って誰?


「……やっぱやめた。」


逢和君が首を捻る私を見て、柵に乗せた腕に自分の顔を埋めてそっぽを向いた。

そのまま黙ってしまった逢和君。

…なんか、不貞腐れてる?

私がザリザリと地面に『どうしたの?』と書くと、逢和君は横目でそれを見て表情を変えずに呟く。


「…別に?」


…別、に…?


困惑する私を、逢和君が見下ろす。



「…寂しかったから。寧々と話せなくて。」



…!!


私は右手の木の棒をポトリと落とした。


「何か問題でも?」

やっぱりちょっと不機嫌な逢和君が片眉をあげた。


…あるよ、問題、大ありだよ。

だって今、胸がキュンってしちゃって、心臓がものすごい大きさで鳴り始めちゃったよ…!
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