春色の恋−カナコ−[完]
あとのメールは、2通とも河合さんからだった。

付き合いだしてまだ間もない私たち。

何度か顔を合わせていたけど、仕事や引っ越しで忙しかった河合さん。

デートらしいことはまだほとんどしたことがなくて。

『おはよう。今日から社会人として背筋を伸ばしてがんばれ!』

朝、電車に乗っている時間に受信していたメール。

こうしてメールでのやり取りがメインだった。

「やだ、まったく気がつかなかった」

携帯を見ながら、思わずこぼれてしまう言葉。

『前半戦終了!終わったら連絡してね』

お昼休みに受信したこのメールにも気がつかなかったなんて。

あわてて返事を作っていると、再びメールを受信した。

もう、書いている途中だったのに!

仕方なく受信するまで携帯を眺めていると、メールは河合さんからで。

『今日は定時だよね?駅前にいます』

え?びっくりして時間を確認すると18時15分を少し過ぎた所で。

この4月からおにいちゃんと同じ部署へ異動してきた河合さん。

河合さんも私と同じで、今日が初日のはずなのに。
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