春色の恋−カナコ−[完]
何をあわてたと思われただろうか。

なんだか自分で墓穴を掘ったようで、すごく恥ずかしい。

「あのね、皆いい人だったよ!」

朝から順に説明していき、いろんな人に出会えたこと、皆親切で頑張れそうだということ。

私のへたくそな説明を、ゆっくりと頷きながら聞いてくれるおにいちゃん。

いつもこうして私の話をゆっくり聞いてくれて、私は納得がいくまで話をすることができた。

昔から変わらないおにいちゃんの優しさ。

「そうか、カナコの話を聞いて安心したよ」

くしゃくしゃっと私の頭をなでるのも、昔から変わらなくて。

私はそれだけで、すごく安心できる。

「おにいちゃんは?河合さんと一緒だったんでしょ?」

「ああ、部署は同じだけどね、机を並べているわけじゃないから」

同じ部署で、同じフロアにいるけど、おにいちゃんと河合さんの席は少し離れているようで。

「でも、これからはコウスケと昼ごはんを食べることができるからちょっとうれしいね」

ふわっと笑ったおにいちゃんを見て、二人は本当に仲がいいんだとわかる。

こんな風に、誰かのことを話すおにいちゃんはめったに見ることがないから。
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