春色の恋−カナコ−[完]
「もうそろそろ連絡あると思うんだけどなー」

買ってきた雑誌とお弁当の本を取り出し、明日のお弁当のメニューを決めたりして。

20時半を過ぎても連絡がないので、夕飯だけ先に食べることにした。

「なんか久しぶりだな」

連絡もなく遅くなることが最近はなかったような気がする。

おにいちゃんは、遅くなるときは先に食べてと言ってくれるけど、連絡があれば待っていることが多かった。

だって、ひとりで食べるのは寂しいし、せっかくの料理も美味しくない。

「いただきます」

料理を温めなおし、一人分だけ用意して食べるけど。

今日は美味しくできたと思ったのに、なんだか味気ないなぁ。

こんな日に限って、テレビをつけてみても面白い番組もやってなくて。

さっさと食べ終わり、片付けていると携帯が鳴った。

着信音でおにいちゃんからとすぐにわかって。

あわてて電話に出ると、電話の向こうもあわてた感じだった。

『連絡できなくてごめんな、カナコ』

「いいよお。これから帰る?」

ガサガサと音のする電話の向こうでは、遠くで声も聞こえて。

まだ、会社にいるんだ。

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