知ってしまった夫の秘密
不倫発覚
***

 それから二ヶ月が経ち、私たち夫婦は変わりなく暮らしていた。
 たわいもない短い会話を交わす日もあれば、残業で帰宅が遅くなった巡二が無言のまま寝てしまう日もある。

 休日は疲れているのか、彼は一日中ダラダラと過ごすことが多く、ふたりで一緒には出掛けない。
 そんな日々の連続だが、もう慣れてきてしまった。

 先週の水曜は私の三十歳の誕生日だったけれど、プレゼントどころか「おめでとう」の言葉すらなかった。
 すっかり忘れていたらしく、クライアントの接待があったため、彼が帰宅したころには日付が変わっていた。

 万季に話してみたら「巡二さん、それは夫としてかなりサボってる!」と、彼女はかわいらしく口をとがらせた。
 たしかに花の一輪でも買って帰ってくれたのなら、私の心は全然違ったのに。

 それでも贅沢は言わない。
 なんだかんだ愚痴をこぼしながらも一緒に生きていくのが夫婦なのだ。私はこの三年でとても我慢強くなった。

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