再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 及び腰になる彼に一歩、一歩と近づいていく。

「自分を閑職に追いやった、私やノアさんに復讐がしたい。だが、本人たちに直接は下せない。だから――」

 ようやく身動きが取れるようになったのか。彼は慌てて逃げだそうとする。
 彼の腕を取り、捻り上げた。悲鳴と共に、ジタバタと暴れる。
 そんな中村の腕を、より捻り上げる。

「彼女に手を出した」
「ひぃ……!」

 情けない悲鳴を上げる中村に、央太はにっこりとほほ笑む。もちろん、目は彼を射落とさんばかりに鋭い。

「いい狙いだったと思いますよ。きっと貴方のことです。ここ数日、商品戦略プランニングチームのメンバーたちをつけ回していたのでしょうね。そして、彼女……真綾に目をつけた」

 ググッとより腕に力を入れる。青ざめてガタガタ震える中村に、顔を近づけた。

「確かに、彼女は私の弱点かもしれない。だが……」

 中村の耳元で、低く鋭い声で囁く。

「俺を怒らせたくなければ、絶対に踏みこんではいけない急所だったな」

 血の気をなくした中村は、その場に崩れ落ちた。もう逃げる気力もなさそうに、ただ地面に這いつくばっている。
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