再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　こんなふうに央太が運転する車に乗るのは、それこそ六年ぶりだ。

　あの頃の記憶が押し寄せてきて、懐かしさと切なさに胸が痛い。だが、保育園に行くまでの辛抱だ。
　持っていたバッグの取っ手をキュッと握りしめていると、ハンドルを握りながら央太がポツリと呟く。

「子どもが、いるんだな」
「……えっと、ええ」

　本当は色々なことを央太の耳には入れたくない。だが、言わなければ言わないで不審がられても困る。
　今はとにかく、幹太が央太の子であることだけを隠し通すだけだ。

　何食わぬ顔をしつつ、それでも緊張で胸の鼓動がバクバクと激しく高鳴っているのを隠しながら前を見据える。

　央太に嘘をつくことへの後ろめたさに、胸の奥がジクジクと痛む。
　だが、どうしても央太には知られたくない。もし、彼の子どもだとバレてしまったら幹太を取られてしまうかもしれないからだ。
　いや、彼の家族が幹太の存在を認めず、危害を加えてくる可能性だってある。

　それほどに永江家は真綾を厄介者と考えている様子だ。
　そうでなければ、わざわざ央太の妹が真綾に会いに来て罵声を浴びさせるなんてことはなかっただろう。