兄妹 ~禁断の恋が動き出す運命の一夜~
でも、すべてひと段落してから、私たちはそれぞれの生活に一度戻ることにした。
蓮人からは何度も連絡がきたけれど、仕事が忙しいと言って会わずに今日までいた。

今度の週末は両親の四十九日がある。
私はその四十九日が終わったら、今の仕事をやめて、別の場所へ行く準備を進めている。

両親が亡くなってから、やらないとならないことが想像以上に多くて、私たちは悲しみに浸っている時間はなかった。
そのほうが抜け殻になりそうな大きな悲しみと喪失感から抜け出せなくなる状況を回避してくれた。

蓮人は昔から私に対して自分は兄だからと、あれこれ兄ぶるところがあった。
やきもちすらやくこともあったのに、両親が亡くなってからあれこれ率先して取りまとめて指揮してくれることがありがたかった。
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