秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
差出人の名は……白井駒子。
(駒子さんがなぜ?)
志弦は急いで手紙を読む。
志弦と清香を応援しようとした結果、本家を追い出されてしまったこと。その後、元同僚からの伝聞で昴と清香の結婚がなくなったことを知ったこと。清香のことが心配になった駒子は彼女に会いに行ったが、職場は退職済み。実家は『うちには娘はいない』の一点張りで取り合ってくれなかった。そんな内容がつづられていた。
手紙を持つ手が震える。
(清香が……行方不明?)
ダンッと大きな音を立てて、志弦はこぶしをデスクに叩きつけた。
「どうしたの? 君がそんなに怒るなんて珍しいね」
リチャードは目を白黒させているが、弁解する余裕はなかった。たしかに志弦は怒っていた、仕事を理由に清香のことを考えないようにしていたこの三か月の自分自身に。
七月、碧美島。
清香は小さな美術館のスタッフ採用面接を受けていた。
「尾野美術館、私も大好きですよ。あそこに勤めていたとは、すごいですね」
穏やかな中年の館長は、清香の元職場である尾野美術館を絶賛してくれる。が、続く言葉は大きくトーンダウンした。
「ただね、今回の募集はただの事務スタッフで。学芸員というほどの仕事ではではなくてですね~」
募集要項に書いてあったので、そのあたりは理解している。ふた月後に退職予定の事務員の代わりを募集しているとのことだった。
(駒子さんがなぜ?)
志弦は急いで手紙を読む。
志弦と清香を応援しようとした結果、本家を追い出されてしまったこと。その後、元同僚からの伝聞で昴と清香の結婚がなくなったことを知ったこと。清香のことが心配になった駒子は彼女に会いに行ったが、職場は退職済み。実家は『うちには娘はいない』の一点張りで取り合ってくれなかった。そんな内容がつづられていた。
手紙を持つ手が震える。
(清香が……行方不明?)
ダンッと大きな音を立てて、志弦はこぶしをデスクに叩きつけた。
「どうしたの? 君がそんなに怒るなんて珍しいね」
リチャードは目を白黒させているが、弁解する余裕はなかった。たしかに志弦は怒っていた、仕事を理由に清香のことを考えないようにしていたこの三か月の自分自身に。
七月、碧美島。
清香は小さな美術館のスタッフ採用面接を受けていた。
「尾野美術館、私も大好きですよ。あそこに勤めていたとは、すごいですね」
穏やかな中年の館長は、清香の元職場である尾野美術館を絶賛してくれる。が、続く言葉は大きくトーンダウンした。
「ただね、今回の募集はただの事務スタッフで。学芸員というほどの仕事ではではなくてですね~」
募集要項に書いてあったので、そのあたりは理解している。ふた月後に退職予定の事務員の代わりを募集しているとのことだった。