秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「わかっています。それでも、美術にかかわる仕事がしたいなと思いまして」
懸命に熱意を伝えようとしたが、館長は清香の大きなおなかに視線を落とし、弱ったような笑みを浮かべる。
「でもねぇ、産後すぐに仕事をするのはやっぱり大変だと思いますよ。ご家族が赤ちゃんのお世話をしてくれるわけではないんですよね?」
「はい。保育園を探すつもりでいます」
「なるほど。う~ん、がんばるお母さんに協力したい気持ちはあるんですが……ちょっと検討させてくださいね」
その表情から結果は聞かなくても推測できたが、臨月で就職活動をしているワケありの清香にこの場で不採用を告げるのは忍びないと思ったのかもしれない。彼は「採用の場合は三日以内に電話します」と言って面接を終了した。
電話が来る望みは薄そうだったけれど、丁重に礼を言って美術館をあとにした。
「いいお天気だなぁ」
澄みきった青空、気温は高いけれど東京に比べるとカラッとしていて風が心地よい。
夏休みシーズンに入り、島にはたくさんの観光客が訪れていた。歩きはじめたばかりの小さな女の子がパパとママに手を引かれて、愛らしい笑顔を見せている。幸せそうな家族の姿に、清香の表情も自然とほころぶ。
(おなかの子も一年後にはあのくらいになるのかな?)
予定日が来月に迫っているおなかは、もうはち切れんばかりだ。性別も、おそらく女の子だろうと医師から聞いている。
懸命に熱意を伝えようとしたが、館長は清香の大きなおなかに視線を落とし、弱ったような笑みを浮かべる。
「でもねぇ、産後すぐに仕事をするのはやっぱり大変だと思いますよ。ご家族が赤ちゃんのお世話をしてくれるわけではないんですよね?」
「はい。保育園を探すつもりでいます」
「なるほど。う~ん、がんばるお母さんに協力したい気持ちはあるんですが……ちょっと検討させてくださいね」
その表情から結果は聞かなくても推測できたが、臨月で就職活動をしているワケありの清香にこの場で不採用を告げるのは忍びないと思ったのかもしれない。彼は「採用の場合は三日以内に電話します」と言って面接を終了した。
電話が来る望みは薄そうだったけれど、丁重に礼を言って美術館をあとにした。
「いいお天気だなぁ」
澄みきった青空、気温は高いけれど東京に比べるとカラッとしていて風が心地よい。
夏休みシーズンに入り、島にはたくさんの観光客が訪れていた。歩きはじめたばかりの小さな女の子がパパとママに手を引かれて、愛らしい笑顔を見せている。幸せそうな家族の姿に、清香の表情も自然とほころぶ。
(おなかの子も一年後にはあのくらいになるのかな?)
予定日が来月に迫っているおなかは、もうはち切れんばかりだ。性別も、おそらく女の子だろうと医師から聞いている。