秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
旅館と見紛うような、大邸宅だ。広々とした日本庭園と純和風の母屋。敷地内に離れのような建物がいくつもある。これが個人宅だなんて、誰も思わないだろう。
世間話どころか、こちらを振り返りもしない駒子の背中を見つめて、清香は小さくため息をつく。
彼女のあれはただの脅しなのか……その可能性にかける勇気は持てなかった。本気なら、榛名画廊の従業員の再就職を邪魔するくらいのことは平然とやってのけるだろう。
(大河内家の援助だけが目的の私と、私を人間とも思っていないこの家。考えようによっては、お似合いじゃない)
清香の顔に皮肉めいた笑みが浮かぶ。運命だと思った恋は永遠に叶わない。それなら、財産目的の割りきった結婚も悪くはない。そう考えたのだ。
『そういうのは、やけっぱちって言うのよ』
茉莉にはそう怒られたけれど。
「お部屋にご案内します。生活に必要なものはすべてそろっていますが、不足があればおっしゃってください」
長い廊下を歩きながら、駒子は淡々と説明する。立派な屋敷のわりに、内部はあまりにも静かで寂しい。働いている人間もそう多くはなさそうだ。
(地下牢に閉じ込められたりするのかと思ったけど、それは考えすぎだったみたいね)
地下牢くらいはあっても驚かない屋敷だが、清香の部屋はちゃんと母屋に用意されているらしい。駒子はひたすらまっすぐ進む。
世間話どころか、こちらを振り返りもしない駒子の背中を見つめて、清香は小さくため息をつく。
彼女のあれはただの脅しなのか……その可能性にかける勇気は持てなかった。本気なら、榛名画廊の従業員の再就職を邪魔するくらいのことは平然とやってのけるだろう。
(大河内家の援助だけが目的の私と、私を人間とも思っていないこの家。考えようによっては、お似合いじゃない)
清香の顔に皮肉めいた笑みが浮かぶ。運命だと思った恋は永遠に叶わない。それなら、財産目的の割りきった結婚も悪くはない。そう考えたのだ。
『そういうのは、やけっぱちって言うのよ』
茉莉にはそう怒られたけれど。
「お部屋にご案内します。生活に必要なものはすべてそろっていますが、不足があればおっしゃってください」
長い廊下を歩きながら、駒子は淡々と説明する。立派な屋敷のわりに、内部はあまりにも静かで寂しい。働いている人間もそう多くはなさそうだ。
(地下牢に閉じ込められたりするのかと思ったけど、それは考えすぎだったみたいね)
地下牢くらいはあっても驚かない屋敷だが、清香の部屋はちゃんと母屋に用意されているらしい。駒子はひたすらまっすぐ進む。