秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
そう思ったところに駒子から容赦のないひと言が飛んできた。
「今日の料理はまぁまぁでしたが、昨日の日本舞踊はとても合格点を出せるレベルにありません。復習をしておいてください」
「ふ、復習ですか」
駒子は無慈悲にうなずく。
「基本の歩き方を。そこの廊下を二往復するとちょうどいいでしょうね」
さらりと告げられたが、この屋敷の廊下は一般家庭とは違い、とんでもない長さなのだ。
(に、二往復かぁ)
「……がんばります」
疲れきった身体にムチを打って、日本舞踊の練習を始める。
子どもの頃に習い事はたくさんした。ピアノ、バレエ、華道、茶道、そして日舞も。どんどん上達していく茶道や華道とは対照的に、日舞はいつまで経っても上達せず、先生にもあきれられてしまったという過去がある。根本的に運動音痴なのだ。
「う~ん。あれ?」
不格好を修正しようとすると、ますますひどくなる。
(バレエもダメだったしなー。踊りの才能はないんだわ)
それでも必死に長い廊下の先を目指して、すり足で歩き続ける。
ふと視線を感じて顔をあげると、眉間にシワを寄せた志弦が目の前に立っていた。
「し、志弦さん?」
(また会っちゃったな。それにしても……)
自分に向けられる視線の冷たさに、しゅんとしてしまう。碧美島で見せてくれたような優しい笑顔はもう二度と見られないのだと思うと、ひどく悲しい。
「今日の料理はまぁまぁでしたが、昨日の日本舞踊はとても合格点を出せるレベルにありません。復習をしておいてください」
「ふ、復習ですか」
駒子は無慈悲にうなずく。
「基本の歩き方を。そこの廊下を二往復するとちょうどいいでしょうね」
さらりと告げられたが、この屋敷の廊下は一般家庭とは違い、とんでもない長さなのだ。
(に、二往復かぁ)
「……がんばります」
疲れきった身体にムチを打って、日本舞踊の練習を始める。
子どもの頃に習い事はたくさんした。ピアノ、バレエ、華道、茶道、そして日舞も。どんどん上達していく茶道や華道とは対照的に、日舞はいつまで経っても上達せず、先生にもあきれられてしまったという過去がある。根本的に運動音痴なのだ。
「う~ん。あれ?」
不格好を修正しようとすると、ますますひどくなる。
(バレエもダメだったしなー。踊りの才能はないんだわ)
それでも必死に長い廊下の先を目指して、すり足で歩き続ける。
ふと視線を感じて顔をあげると、眉間にシワを寄せた志弦が目の前に立っていた。
「し、志弦さん?」
(また会っちゃったな。それにしても……)
自分に向けられる視線の冷たさに、しゅんとしてしまう。碧美島で見せてくれたような優しい笑顔はもう二度と見られないのだと思うと、ひどく悲しい。