秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
愛はなくとも信頼を築こう。この思いが彼に届くことは永遠にない、ということだけ。
いろいろ試してみた結果、ウタはサーモン味が一番お気に召している様子だった。ガツガツと餌にかぶりつく彼――確認してみたところウタは雄だった――をほほ笑ましい気持ちで眺める。
静岡から帰ってきた駒子にウタのことを尋ねてみたところ、近所で飼われている猫は洋猫ばかりだからウタはどこかから迷い込んだ野良猫じゃないかという答えが返ってきた。
『今、この屋敷の主人は志弦さんです。彼がいいと言うのなら、置いても構わないと思いますけど』
あいかわらずの無表情で彼女はそう言ったが、心なしかその背中はウキウキしているように見えた。志弦の言ったとおり、動物好きは真実のようだ。
そんなわけで、ウタはこの屋敷の子になり、メインの世話係は清香が務めることになった。
茶色いふわふわの毛をそっと撫でてみる。ようやく慣れてくれたのか、最近は清香が触れても抵抗しなくなった。
「前途多難。これのもっとひどい状況ってなんて言うのかしら?」
思わずウタに愚痴をこぼす。今の清香には、もはや前途なんて見えない。真っ白な霧に視界を奪われて、一歩も足を踏み出せない。そんな状況に思える。
「ウタがいてくれてよかった」
かわいい姿を見ていると気分が明るくなるし、この屋敷にいる意義も見いだせる。
「ンニャ」
いろいろ試してみた結果、ウタはサーモン味が一番お気に召している様子だった。ガツガツと餌にかぶりつく彼――確認してみたところウタは雄だった――をほほ笑ましい気持ちで眺める。
静岡から帰ってきた駒子にウタのことを尋ねてみたところ、近所で飼われている猫は洋猫ばかりだからウタはどこかから迷い込んだ野良猫じゃないかという答えが返ってきた。
『今、この屋敷の主人は志弦さんです。彼がいいと言うのなら、置いても構わないと思いますけど』
あいかわらずの無表情で彼女はそう言ったが、心なしかその背中はウキウキしているように見えた。志弦の言ったとおり、動物好きは真実のようだ。
そんなわけで、ウタはこの屋敷の子になり、メインの世話係は清香が務めることになった。
茶色いふわふわの毛をそっと撫でてみる。ようやく慣れてくれたのか、最近は清香が触れても抵抗しなくなった。
「前途多難。これのもっとひどい状況ってなんて言うのかしら?」
思わずウタに愚痴をこぼす。今の清香には、もはや前途なんて見えない。真っ白な霧に視界を奪われて、一歩も足を踏み出せない。そんな状況に思える。
「ウタがいてくれてよかった」
かわいい姿を見ていると気分が明るくなるし、この屋敷にいる意義も見いだせる。
「ンニャ」