秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 品定めをする不躾な視線が全身に注がれる。胸や脚をジロジロと見られたときに感じたのは、はっきりとした嫌悪だった。
 苦手なタイプだ。会って数秒でそう確信してしまった。
 昴はとても華やかだ。モテる人間に特有の自信に満ちた雰囲気がきっと人を惹きつけることだろう。目立つ欠点のない端正な顔立ちで、背が高くスタイルもいい。よく見れば顔立ちそのものは志弦に結構似ている。だが、醸し出す雰囲気は正反対だ。
 軽薄。ひと言で表すのなら、その言葉がもっともしっくりくる。

「へ~。思ってたよりかわいいじゃん。胸が俺には物足りないけど、まぁ別にいっか」
 やっぱり胸を見ていたのかと、思わずさっと両手で胸元を隠す。昴はもう興味はないと言いたげにふいと顔を背ける。
「合格、合格。いつでも勝手に嫁においで」
 背中で手を振って彼はスタスタと歩いていってしまう。
「えぇ?」
 思わずおかしな声が出てしまった。どういう意味なのだろう、そうとう酔っているのか。清香が困惑して立ち尽くしていると、彼はくるりとこちらを振り返った。

「あ。今から二、三人女を呼ぶから、俺の部屋には近づかないでね」
 真意をはかりかねて目を瞬くと、彼はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる。
「もしかして混ざりたい? 複数とか、楽しめるタイプなら来てもいいよ」
 なにを言われたのかさっぱりわからず、呆然と彼を見送った。
 ――わかったことはひとつ。
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