だめんずばんざい
対面した!






「新しいマンションの鍵もらったから週末に引っ越しするよ。これ、カオルちゃんの鍵」
「…これ?鍵なの?」
「リモコンキー。一緒に引っ越す?」
「うーん…引っ越しは無理かな…」
「そうだよね。家族にちゃんと話さないと」
「うん」
「どっちにも泊まればいいよね。カオルちゃんのいいタイミングでご家族には会うよ。とにかく、俺は荷物を寛人のところから出さないと…鍵がないままのところに置いたままだから」
「うん」

私のいいタイミングっていつなんだろう?自分でも驚くほどのスピード決断だったからよくわからない。

「まずは週末に来てみて。場所も確かめてキーも使ってみて」
「そうする」

と私が言い終わらないうちにガクトの電話が鳴った。

「もしもし、母さん」

お母さんか…私は静かに食べ終わったミートソーススパゲッティーの皿を持って台所に行くと、作り置き分もまとめて作って冷ましていたミートソースを適当にフリーザーバッグに入れる。3袋に入れ終え、冷凍庫に入れながら

「結婚するから」

というガクトの声が聞こえたので彼を見ると、ガクトは寝転んで話をしながら私にひらひらと手を振った。

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