雨の音、君の色
「まだ引っ越してきたばかりだもんね……分かった。私に着いてきて」

私はそう言ってから頷くと、歩き始めた。



あれから2週間。

私は、我慢の限界で学校も行かずに家に引きこもるようになった。

静かな部屋に雨音が響いて、私は耳を塞ぐ。そのまま時計に目を移せば、もう放課後の時間で私はため息をついた。

家のチャイムが鳴って、仕事が休みのお母さんが「はい!」と声を出す。

……先生が来たのかな?嫌だな、先生に会いたくない。

しばらくしていると、ドアがノックされる音が響いた。

「恵、京介くんが来てくれたわよ。先生が家に行けないから、代わりに渡してくれって頼まれたらしくて……」

家に来たのが京介くんで、少し安心した自分がいる。

お母さんから封筒を受け取って、私は中身を確認した。中にはプリントと、1枚のシャーペンで描かれたイラストが入っている。

中性的な顔立ちをした男の子が儚げな表情をしたイラストだ。『先輩、またたくさんお話しがしたいです』というメッセージ付きで。

隅の方に書かれた名前を見て、私は「京介くんって、絵が上手かったんだ」と呟いた。

「あ、そうそう。京介くん……恵のこと、すごく心配そうにしてたわ……口では、言わなかったけど」
< 3 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop