雨の音、君の色
ドア越しから聞こえてくるお母さんの言葉に、私は京介くんが描いたイラストの紙を強く握り締めた。

京介くんに、お礼を言わなきゃ……。

私は充電しているスマホを手に取ると、京介くんに『明日の放課後、直接会って話がしたいから私の家に来てくれない?』とメッセージを送る。

『分かりました。放課後、先輩の家に向かいますね』

京介くんからの返事に、私は明日が楽しみになった。



「……失礼します……」

翌日。私の家に来た京介くんを連れて、リビングにやって来た。

「ごめんね、京介くん。急に私の家に来てもらって」

私はそう言いながら、リビングに置かれているソファーに座って、京介くんに座るように促した。

「いえ。先輩が元気そうで安心しました」

京介くんが座ったのを確認すると、私は「昨日、プリント届けてくれてありがとね」と微笑む。

京介くんは真っ赤になりながら、恥ずかしそうに「いえ」とはにかんだ。

「……京介くん、絵上手いね。昨日のプリントに入っていた絵、京介くんが描いたんだよね?」

「はい。少しでも元気になってほしくて……どうしたらいいか考えたんですけど、僕に出来ることといえば、絵を描くことしかなくて……」

「ありがとう……少し元気になれたよ。また、こうやってイラスト描いてほしいな」

私が微笑むと、京介くんは「もちろんです!」と微笑んだ。
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