極彩色の絵画みたいな(詩集)

埋まらないパズル

「埋まらないパズル」



小学生の頃、好きな子の家で皆でパズルで遊んだとき、わたしは、真ん中くらいのピースを持ち帰った。また遊ぶきっかけになればと思った。でも翌日、激怒するあの子を見たら、返せなくなった。幼く淡い恋だった。けれどそんな後ろめたさもあって、わたしは今年も、同窓会の葉書の「欠席」に丸をつける。

(あの子はきっとこんなこと微塵も憶えていないし、盗ったのはわたしなのに。わたしの心はもう長い間、ぽっかりと穴が開いたままだ。わたしがたったの1ピースを持っているせいで、永遠に完成することのない、あの子のパズルのように)




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