恋なんて、正気の沙汰じゃない!
目が覚めた数時間前……
キーンコーンカーンコーン
聞き慣れたチャイムを聞きながら、私はまだ立ち上がる事なく座っていた。
窓際の席で、外を眺めながら…
「雛ー、まだ帰らないの?」
「うん。まだ、これ 残ってるから。」
机から取り出して、日誌を見せた。
今日は、順番に回ってきた日直の日。
「そんなの、適当でいいのに。」
「雛は、真奈美とは違うんだよ。」
わしゃわしゃと少し乱暴に、真奈美の頭を撫でる司。
小田 真奈美と、中津 司。
2人とは、高校に入ってから仲良くなった友達で、最近 付き合い出した。
1年の頃から、お互い惹かれ合ってたのを間近で見ていた私からしたら、やっと…と思った。
けど、2人の関係を壊したくないって気持ちも分かってたから、踏み出した勇気はすごいと思う。
「じゃ、また明日ねー。」
「明日な。」
頑張れ。と、手を振って出て行く2人を見送った後、
小さな溜め息と共に、もう書き終わっている日誌を開いた。
まだ帰らない理由は、これじゃない。
ただ、帰りたくないだけ。
あの部屋に……